プログラムの最終調整を行う頃、とうとう彼らが鉢合わせする日が来た。
「アンタ、ここに何しに来てんだよ」
予想通りの険悪さに私は口を挟むのを止めた。
この再会を仕組んだのが私だと知ったら、彼は怒るだろうか。
「博士ぇ、さっさと帰りてぇから早くしろよ」
「ああ、これだよ」
私が彼に渡したのは、文庫本サイズのラジオボックスだ。同じものを棒立ちになった紳士の手にも乗せてやる。
「これの使い心地を教えてほしい。期間は一週間から一ヶ月、水分・火気厳禁。細かい説明は紙に書いたから読んでおいてくれ。用はそれだけだよ」
彼らに渡したのは、私の組んだ人格プログラムの試作機だった。マイクと音声データを詰め込めるだけ突っ込んだら、ああいった無骨な形に落ち着いてしまったのだ。私が作りたかったのはあくまでプログラムだったので、外見に関しては全く考慮に入れていない。彼らに限って外見に文句を言うこともないだろう。
私が用件を言い終えると、根無し草はさっさと帰ってしまった。紳士は口を閉ざし、去っていった男を目で追い続ける。二人のその様子に、私は心底呆れてしまった。
……実を言うと、私が彼らにあれを貸与したのには理由がある。
それこそ私があれを作ったきっかけであり、たっぷりと時間を掛けたおせっかいの始まりでもあった。