私の知る二人は、兎にも角にも正反対だった。
片方が右と言えば左と言い、白と言えば黒と言う。登れば降りて眠れば起きる。
ああいうのを以心伝心というのだろう。アイキャッチすらも必要なく、DNAレベルで通じ合っているような印象を受けた。
だが二人はどうしても歩み寄ることが出来なかった。
スーツにシルクハットを愛用する古典に出てくるような英国紳士。
その日暮らしでそこいらを放浪している根無し草。
くすんだシルバーと薄いブロンド。吊り目と垂れ目。獣の気性と柔和な顔。どれを取っても全く接点のない二人だが、二人は紛れもない兄弟だった。ある意味で双子と例えてもいいだろう。
彼らは異母兄弟だ。英国では富裕層として知られる父と同格の地位を有する母A、そして気まぐれで買われた娼婦B。それぞれの腹から生まれたのが彼らだ。そして面白いことに、彼らは同日同時同一の病院で産まれたことになっている。カルテを改ざんする理由もないだろうから、これは全くの偶然なのだろう。
私が彼らを双子と呼ぶのにはそういった理由があった。