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Eine Jungfrau des Stahles





「くたばれパスタ野郎!」
 怒声と共に銃身で思い切り殴られたとき、イタリアは何が何だか分からなかった。
 ……俺、何で女の子に殴られてるの?
 二人――というより両国――のファーストコンタクトは、血と涙で濡れた酷いものだった。


「イタリア、お前は弱すぎる! よって今日から徹底的に鍛え上げる!」
「えーいいよ。俺には白旗があるし」
「……その惰弱な性根から叩き直す必要があるな。今日はジョギング十キロだ」
「ヴェー!!」
 想像するだけで疲労困憊するメニューにイタリアは号泣した。だがそれで止めてくれる相手ではない。
 眩い金髪を後ろに流し、暗緑色の軍服に身を包んだ彼女はドイツという。イタリアの隣国その方である。身長はイタリアより少々大きいくらいだが、全身から滲み出る威圧感が彼女をより大きく見せている。
 そもそもドイツを女扱いしているとバレた時点で地獄を見る。初対面のときに口説いて銃底でぶん殴られたが、実は手加減されていたらしい。普通なら後頭部殴打か、悪くて銃殺とか。それは怖いと思いつつも、イタリアはドイツを口説かずにはいられなかった。
 なにせ、ドイツは美人なのだ。
 金髪碧眼の美女が軍服を着て銃を構える姿は、物騒ながらも美しい。会うたび怒鳴られても命令されても、ついへらへらした顔を作ってしまうのは昔からの性だ。美しい女性のお願いはちゃんと聞かないと。
 けど、何度も言うように――相手は軍人・ドイツ。
 ドイツの「お願い」は、イタリアに肉体的苦痛をもたらす。嬉しくない方向での運動である。
「お前の今後の為だ、返事はjaしか認めんぞ」
 軍服の前を開け腕まくりをして、軽くストレッチをしていたドイツが黒い手袋を嵌め直す。あのストイックな感じが魅力的なんだよね、とイタリアはまたひとつドイツの美点をメモした。
 イタリアの行動をどう取ったのか、ドイツは一瞬だけ笑った。誰の目にも留まらなかった笑みはすぐ消え、またイタリアを叱責する為の唇に変わる。
「私と並列して走れ、イタリア!」
「は、はいでありますぅぅぅ!!」
 そしてその日、イタリアは酸欠直前まで走らされた。
 同盟国ドイツの献身的な愛の鞭は、果たして相手に届いているのか。そもそも「愛の」の部分を感じ取っていなさそうだが、それもしょうがないだろう。イタリアの脆弱な戦体質を改善するには、時間が掛かる上に肉体的負担も大きい。いつ逃げられてもおかしくない。



 ちょっとやりすぎかな、と人知れず悩んでいたドイツだったが、演習をサボったイタリアに激怒するのはそう遠くない未来の話である。

「尻に鞭打ってでも演習に出てもらうからな!」
「ヴェー! 痛いの嫌ァー!!」







ヘタリア処女作。タイトルは「鋼の処女」を日→独エキサイト翻訳にかけたもの。
あの翻訳機は中々愉快なので毎回使ってしまいます。

09/04/28


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